世界に誇れる品質をこれからも。和田メリヤスが思い描いたファクトリーブランド、「Switzul(スイッツル)」とは。

「質より量」が唱えられた時代でも、「量より質」に拘り、その姿勢が長きに渡って支持されている「和田メリヤス」。しかし、OEMだけではやっていけない時代がくるだろうと、代表の和田さんは数十年の間危惧していたそうです。そんな和田メリヤスがスタートさせたファクトリーブランド「Switzul(スイッツル)」。一体、どんな思いでファクトリーブランドをスタートさせたのか。その想いに迫るインタビューを敢行しました。

by BASE Mag. 公式

世界に誇れる品質をこれからも。和田メリヤスが思い描いたファクトリーブランド、「Switzul(スイッツル)」とは。

編集日時: 2017/07/05 17:49

BASEにて直営オンラインストアの運営を開始した、吊り編み工場から生まれたファクトリーブランド「Switzul(スイッツル)」を手がける和田メリヤスの代表、和田さんと萬川さんに吊り編みに込めた想いについて聞きました。


"量より質"に対する拘り


−和田メリヤスについて教えてください。
和田メリヤスは今から60年前の1957年に創業した会社です。もともと先代である私の父が和歌山に何社かあったメリヤスの職長(調整役)を担っていたのですが1905年頃に吊り編み機を借り受けてスタートしたのが始まりです。

−先代から事業を継承するにあたって抵抗はなかったのですか?
幼き頃から検反場(検品作業する場所)に寝かされて吊り編み機の音を聴きながら育ったので、違和感なく当たり前のように引き継ぎました。


大きさに驚かされる吊り編み機。

−今もファストファッションが全盛な時代ですが、当時も国内産業が海外輸入にシフトしていく時代だったかと思います。苦労はなかったですか?
ちょうど、バブル絶頂期の一年くらい前でしょうか。質より量、大量生産の時代に入ったのは。でも私は大量生産のそれとはまったく異なる吊り編みはまだいけると思っていました。
先代に言われた言葉でずっと記憶に残っている言葉があります。

『吊り編み機は各駅停車。新幹線(シンカー編み機)は速くて大量輸送。値段が違うのは当たり前。品質は全体に負けていない』

吊り編み機で1日に編める量は僅か7kg。一方でシンカー編み機は150kg。大量生産の方が多く安く共有可能です。
でも、私たちは大手と組んだり、特許を取得する、品質に拘るなどで勝負しました。
その努力もあってか、量より質に注目する世界に名だたる大手ブランドのコレクションにも採用されました。
 

自信があるからこそできたこと


−どうしてファクトリーブランド「Switzul(スイッツル)」を始めたのですか?
OEMだけではやっていけない時代がくるだろうと数十年、危機感をずっと持っていました。
そんな時、工場にパタンナーが訪ねてきたんです。これまでデザイナーが訪ねてくれることはあってもパタンナーが訪ねてくることはありませんでした。そしてその2,3日後にはデザイナーも訪ねてきました。
その時、私が思い描いているファクトリーブランドが実現すると確信しました。
品質には自信を持っていますから、パターンやデザインは若い方に任せれば大丈夫だろうと。

−直営オンラインストアをオープンしようと考えたのはなぜですか?
例えば北海道や四国など直接、Switzulを見て手に取れない方からの問い合わせがあるので、そこを解決する手段になればと。
一方で、あらかじめ吊り編みの良さがわかっている人はいいけど、この場所のように吊り編み機を自分で見て、製品に触れてもらって接客してでないと『どうしてこんなに値段が高いの?』と思われる方がいるのも事実です。
周囲からはもっとテキストで説明したほうが良いのではとも言われるんですが、製造元だからこそでしょうか“あとで気づいてほしい”んですよね(笑)。洗濯を繰り返した時、絶対に他との違いがわかるので。
それで実はね!って納得してほしい。世界的なブランドでもやっていないような製法で作っているこの良さを。


質の違いを実感できる洋服たちがずらりと。

−表面的には見えないこだわりはありますか?
18年前に工場を新設したのですが環境に配慮している点でしょうか。200坪強くらいの広さなのですが太陽光発電で工場を運営する電力はほとんど賄えています。
 

Switzulが伝える「和田メリヤス」の想い


−工場の話が出たのでお聞きしたいのですが、地場産業と聞くと後継者や人材面が気になります。
息子が後継者でほとんどを任せています。あとは中学生の孫かな(笑)。今はサッカーに夢中ですが「いつかサッカー選手になって引退したあとお爺ちゃんを手伝わないか?」って(笑)。
あとは、萬川のような女性が増えると良いなと思います。女性のほうが丁寧な気がするので、機械を扱うこの仕事には向いているのではないかと。


萬川さん(左)と和田さん(右)

−萬川さんのお話が出たので萬川さんにもお聞きしたいのですが、どういった想いを込めてSwitzulを届けたいですか?
吊り編みの良さをすでに知っている人はもちろん、何も知らないでも感覚で身を持って実感してもらえれば嬉しいなと思っています。
繊維業界自体が厳しい時代でもあるので、ブランドを通して消費行動にもアプローチできれば…。
例えばファストファッションを買ってワンシーズンで捨てるのではなく、自分が買って着心地の良さを知ったから親にプレゼントする、夫婦で着る、子や孫に引き継ぐ…。世代や国籍を超えて吊り編みの良さを実感してもらえれば。

(編集後記)
聞き手は和歌山出身かつ洋服大好き人間なのでもちろん吊り編み機のことも知っていましたが、改めてお話を聞くと機械の話というより情熱の話だと感じました。確かに安く早く流行の洋服に身を通せることも便利ですが、着心地の良い洋服を末長く着るといったことも素敵だなと感じました。
 
世界に誇れる品質をこれからも。和田メリヤスが思い描いたファクトリーブランド、「Switzul(スイッツル)」とは。

このアイテムが気に入ったら
「いいね!」をしよう!

BASEの最新情報をお届けします