見上げればそこにある空。同じ空は無いように、一瞬一瞬を切り取った写真にその時々の想いを馳せる。そのメッセージは誰かの心の拠り所となるような、前を向きたくなるようなメッセージばかり。そんなポストカードを制作している、ライクバーズの山口さんにお話をお伺いしました。
やりたいこともなかった大学生時代
-- ポストカードのメッセージ、どれも刺さるものばかりでした。
ありがとうございます。これらのメッセージはもともと、どれも自分に宛てたメッセージなんです。自戒を込めて、そういった思いを必ずメモするのが癖なんです。
-- なぜそれを商品として販売しようと思ったのですか?
もともと販売する予定はなかったのですが、「自分でゼロからビジネスを立ち上げたい」と思ったんです。
その経緯を話すと大学生の頃に戻るのですが、大学生の頃、漠然と将来に対して不安があったので2年休学をし、その間にとある事業主さんのもとでインターンをさせていただきました。そのインターンではビジネスコンサルなどを学んだのですが、それがあまりにも楽しくて楽しくて。先のことは考えず、勢いのまま大学を中退しました。
-- 中退ですか!?
大学に戻っても、特にやりたいことがなかったので。中退後もその人のもとで仕事をさせてもらい、いろいろなことを学びました。そしてインターンの期間が終わり、その人のもとを離れることになったとき、これまで学んだことを活かして自分で事業をやってみようと思ったんです。今もその時の繋がりでお仕事をさせていただいている方もいらっしゃるのですが、自分がゼロから作ったものでビジネスをやってみたい。そう思ったんです。
自分の経験が誰かのために。
-- なるほど、それでこのポストカードを。
はい。ゼロからなにか始めるってやっぱり難しいし、自分にできることなんてちっぽけなことはもちろんわかっていました。私的なことになるのですが、僕はシンガーソングライターのYUIさんの大ファンです。YUIさんは歌いたいという夢をかなえるために高校を中退しオーディションに参加し、優勝。そしてメジャーデビューをされたのですが、その夢に対する強い思いと自分自身で道を選んでいる姿がかっこいいなと思いました。そしてそんな彼女が歌う歌には彼女自身の経験が投影されているようで圧倒されたんです。それから自分の心の整理をするためにも思ったことや考えていることをメモするようになりましたね。
-- YUIさんがライクバーズのポストカードの原点なんですね。
ライクバーズのポストカードには全て番号をつけています。1枚目のポストカードは海の写真なのですが、YUIさんのご出身地でもある福岡県の新宮浜というところで撮影をしました。この仕事を始めようと思った時に一枚目は絶対ここにしようって決めていて。そして載せた詩は、「ときどき原点に帰ると、大切なことを思い出せる」。もう本当に自分のためにつくったようなポストカードですね。
僕の言葉、写真が誰かの支えになれたら。

-- ライクバーズという名前はどこから?
ライクバーズは日本語にすると「鳥のように」という意味ですが、僕のポストカードが誰かの支えに、鳥のようにあなたのもとに届きますようにという思いで名づけました。行き詰まった時にでも見てもらえたらひとつくらいしっくりくるものがあるかもしれません。
-- 普段は関西で活動している、ライクバーズの山口さん。今回は東京でこのフォトポエムの展示を行うということでお話を伺う機会をいただきました。誰しも感じたことのある漠然とした不安や、迷い、そんな気持ちに刺さる写真・メッセージばかりでした。ふとした時に見返すと元気が出そうです。
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